私の子どもが学校で怪我をして入院し、日本スポーツ振興センターの給付金をもらいました。
時効
日本スポーツ振興センターの給付金の制度には、時効があります。
学校で怪我をしたり障害を負ったりするなど、給付事由が生じた日から2年以内に手続きしないと、給付を受ける権利が時効で消滅してしまいます。
医療費、障害見舞金、死亡見舞金、すべて時効は2年間です。
早めに学校に相談
時効にならないよう、早めに学校に相談したほうがよいと思います。
・当初、医療費が少なかったから、いいかと思っていたら、なかなか完治せず、実は医療費がかかる病気だということがあります。
・けがが完治してから手続きをしようと思っていたら、時効になっており、給付を受けられなくなってしまうことがあります。
・思った以上に治療が長引き、合計金額が大きくなっていることがあります。
・退院し、完治してから請求しようとしたら、時効になっていることがあります。
また、学校の担当者が異動して、引き継ぎがうまくいってないケースがあるかもしれません。
担当が異動したときは、確認が必要かもしれません。
学校の先生も、この制度を知らなかったり、利用を促進してない場合があります。
私の子供の学校では、子供から申し出ることができない雰囲気でした。
以下、日本スポーツ振興センターの制度や、申請方法、私の体験を書かせていただきました。
日本スポーツ振興センターの災害給付は、スポーツ以外の学校の活動でも利用できる
スポーツ以外でも対象
99%以上の学校で、子供たちが加入する「日本スポーツ振興センターの災害給付金制度」は、そのネーミングからスポーツ関係と思いますが、これに加入していれば、学校管理下での子供の怪我や傷害、死亡したときに給付金が出ます。
運動部や体育だけでなく、通学や遠足、土日に行われる地域のイベント(学校で参加申し込みをしたもの)、その行き帰り、放課後の鬼ごっこでの怪我など、学校生活に関係するものであれば、ほぼ利用できるそうです。
日本スポーツ振興センターの「災害共済給付金制度」によれば、以下のように書かれています。
・低い掛け金で、厚い給付が行われる。
・学校の責任の有無にかかわらず、給付の対象となる。
・学校の責任において提供した食物によるO-157等の食中毒、熱中症、突然死も給付の対象となる。
授業や部活以外でも、支払われるそうです。
・子供同士のけんかで、怪我をした場合
・放課後に廊下で追いかけっこをしていて、ガラスに突っ込んで頭を切る。
・ジャングルジムから、落下して骨折
・登下校中に自転車が転倒して、車に接触した。
・掃除中、机を2段に積み上げた最上段にふざけて上って、落下して頭を切る。
・リヤカーに乗って遊んでいたところ、坂道でスピードが上がって、停まらなくなり、手を骨折した。
・下校中にふざけあっていて、相手の進行方向に足を出したところ転倒して顔面を切った。
・登校中、ふざけながら歩いていたら、前から来た自転車に気付かず顔を切った。
・下校途中、寄り道した川で石を投げ合っていたところ、石が当たり、眼を負傷した。
・下校途中に猫に引っかかれ、10針縫った。
・踏み切りで警報機が鳴り始めたが、踏み切りに進入し、列車に接触した。
・授業中、隣の生徒がナイフで刺した。
・ゴムとシャープペンシルを弓矢のようにして遊んでいて、他の生徒の眼にシャープペンシルが刺さった。
対象となる学校
幼稚園、保育園、小学校、中学校、高等学校、高等専門学校
加入は学校単位で行います。
以下の加入状況のように、ほとんどの学校が加入しているようです。
掛け金は、年間、270~1880円(学校種別で異なる)です。
加入状況(28年度)
小学校 99.9%
中学校 99.9%
高等学校 99.4%
高等専門学校 99.4%
幼稚園 80.1
保育園 83.4%
認定こども園 86.0%
災害の範囲
①負傷と疾病
療養費用の総額が5000円以上のものになります。
給付金は、療養費総額の4割です。
症状の例として以下のようなものが記載されています。
・中毒
・熱中症
・溺水
・異物の嚥下(えんげ) 異物を飲み込んでしまうこと
・外部衝撃等に因る疾病
・負傷
②学校管理化の負傷や疾病後に残った障害
給付金は、障害見舞金として、82~3770万円
③学校管理下で死亡した場合
死亡見舞金1400万円,2800万円
(状況によります。)
突然死も対象です。
・運動などに起因する突然死 2800万円
・運動と関係ない突然死 1400万円
学校の管理下の範囲の例
- 通常の授業
- 生徒会活動
- 学芸会
- 運動会旅行
- 掃除
- 休憩時間(始業前昼休み、放課後)
- 夏休み中の水泳
- 登下校中(登園、降園)
- 修学旅行や部活などで、駅に集合する場合、家から駅までの往復中
- 学校の寄宿舎
給付金は、医療費総額の4割
学校で怪我をして、10000円かかった場合は、日本スポーツ振興センターの災害給付金から、4000円給付されます。
通常、1医療費総額が10000円の場合、3000円を窓口で支払いますが、給付金は、4000円になります。
他の法令(障害者総合支援法の育成医療など)による給付との併用はできない。
高額療養費となる場合は、自己負担額に1割を加算した額が給付されます。
給付の手順
①学校に日本スポーツ振興センターの災害給付を受けたいということを申し出る。
授業や通学途中で怪我をして、医療機関にかかったら、学校に申し出ます。
状況によっては、学校の先生が病院に連れて行ってくれる場合もあると思います。
②医療機関で「医療等の状況」証明を受ける。
様式があります。学校に申し出て、用紙をもらうか、ダウンロードします。
医療機関で、「医療等の状況」証明を書いてもらいます。
様式は、申し出れば、学校でもらえると思います。
日本スポーツ振興センター 様式ダウンロード
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/saigai/downroad/tabid/81/Default.aspx#sinseisyo
②-1 災害報告書
「災害報告書」は、先生が作ってくれると思いますが、子供や保護者が分かるところを書いてから、先生がパソコンで作ってくれることもあると思います。
「災害報告書」の「概要」欄は、2、3行でも内容が分かればよいそうです。
「災害報告書」の「概要」欄の例
・市の競技場で野球の練習中、フライ球のボールを拾うため、予測した着地点に走っていったところ、足首を痛めた。
・市民公園でサッカー部のトレーニングとして、ランニングをしていたところ、転んで膝をひねった。
「応急処置や医療機関への移送など災害発生時に対して学校のとった措置状況」
ここは、学校が書いてくれます。
学校の先生しか分からないと思います。
学校にお願いしてください。
文例
・部顧問の先生による応急処置を受けた。
・保健室で応急処置を受けた。
複雑なものは、先生に相談すれば、きちんと書き直してもらえると思います。
保健室の先生に相談するとよいと思います。
「その他参考となる事項」欄
学校の活動であることを証明するために、部顧問が練習計画を付けてくれたり、通院の状況などを書いたりします。
保健の先生に聞くとよいと思います。
特になければ空欄でもよいそうです。
文例
・練習計画を添付します。
・応急処置後は、整形外科で処置を受けました。
②-2「医療等の状況」
通院先で書いてもらいます。
病院の窓口に行くと、「これは何?」というような顔をされることがあるので、日本スポーツ振興センターのホームページから、書き方の例をダウンロードし、書いてもらう証明書の用紙といっしょに渡してもよいかもしれません。
「医療等の状況」は、医療機関ごとに書いてもらいます。
2箇所以上の医療機関にかかる場合、それぞれの病院で書いてもらいます。
また、2カ月以上通院する場合、月ごとに書いてもらいます。
③医療等の状況証明を学校に提出
学校から、日本スポーツ振興センターに書類が送られる。
学校では、子供や保護者が書いたメモや関係の先生からの聞き取りを基に災害の発生状況を証明する書類「災害報告書」(②-1で説明したもの)を作成し、「医療等の証明」と同時に書類が送られます。
④給付金を受け取る、
日本スポーツ振興センターが内容を審査し、基準を満たせば給付金が受けられる。
日本スポーツ振興センターのホームページを見ると、障害事件のようなものもありますが、給付されているようです。
⑤継続申請
2カ月以上医療機関にかかる場合、学校に申し出ます。
申し出ると、「災害継続報告書」がもらえると思います。
用紙は、日本スポーツ振興センターのホームページからダウンロードできます。
「災害継続報告書」に名前や日付を書いて、学校に提出します。
簡単な証明書ですから、学校で書いてもらえることもあると思います。
証明は、学校でします。
その後、学校から日本スポーツ振興センターに継続報告書が送られます。
日本スポーツ振興センターのホームページより
学校での怪我は、どんな小さなものでも申し出ましょう
ご家庭の中には、大したことがないからとか、災害給付の基準に合致しないケースと思って、請求しないことが多いのではないでしょうか。
私も「大丈夫!」ということが多いのですが、自分自身や、子供の過去を振り返ると、給付金の請求をしてもよいケースが多かったと思います。
学校で負傷しても、学校から日本スポーツ振興センターの給付金制度について、説明されたことはありません。
入学説明会のときなどに、案内が配布されていると思いますが、よく見ていない保護者の私も悪いと思います。
以前、子供が部活で怪我をしたことがあり、数ヶ月間、通院しました。
私は、PTAの委員をやっていたことがあり、この制度のことを知っていましたが、学校では、対象ではないと言われたようです。
私は、学校側が、学校で作成する「災害報告書」の作成や手続きが面倒なのでは、と疑ってしまいました。
「そんなはずはない」
もう一回、学校に言うよう、子供に言いましたが、先生が怖くて言い出せなかったようでした。
私は、子供が部活をやりにくくなると思い、私も黙ったままでした。
親は、子供が学校に人質にとられているようで、申し出しにくいです。
保護者から、申し出しやすいシステムだと、よいと思いました。
運動部ですと、接骨院や鍼灸院、整体、整形外科などに年中通います。
この金額だけでも、バカになりません。
利用できる制度であれば、使いたいものです。
学校によって提出状況が違うようです。
学校の先生から聞いた話ですが、地域や家庭によって、提出状況が違うそうです。
学校によって、この制度があることを、入学説明会等で説明していなかったり、怪我をしても説明がないこともあったりするそうです。
「配布プリントには書いてあるんですが、すべては説明できないので」とのことでした。
私の子供も利用しました。
子どもが部活中に怪我をして、請求する機会がありました。
子どもに保健室に行かせたところ関係書類を用意してくれました。
保険の先生の指示にしたがって、書類を作成します。
用意された書類に書き込むだけです。
分からない場合は、保健室で聞けば大丈夫です。
子供からは、直接聞きにくいこともあるかもしれません。
その場合、直接、養護教諭に聞くと早いと思います。
一部の書類は、医療機関に書いてもらいます。
月ごとに書いてもらう必要があります。
7万円以上は高額医療で職場の証明が必要
私の子供の場合、治療を始めてから半年後に請求をしました。
また、70,000円以上(7000点)の場合は、高額医療になります。
所得に応じた額が支給されるため、職場で証明書を書いてもらう必要があります。
この書類は、学校でもらえますから、必要なところを記入してから、職場の担当者に依頼します。
書類が揃ったら、学校(保健室)に提出します。
学校や怪我をした状況によっては、部活の顧問や担任の先生を通して、手続きをすることになるかもしれません。
部活などで怪我をした場合、言いにくい場合もあるかもしれません。
事務手続きは、保健の先生がやっているようですので、担任や部活の顧問に言えない場合やこの制度について知らないような場合、保健の先生に相談するとよいと思います。
学校への相談から給付まで、半年ほどかかりました。
日本スポーツ振興センター 給付の対象は本人のみ
この制度の対象は、本人の怪我などの場合のみです。
対人、対物はありません。
対物
通学中に自転車に乗っていて、歩いている人を跳ねたとか、車をへこませてしまったとか、というような場合は、給付されません。
車にボールを当ててしまい、ボディをへこませたとかガラスを割ってしまったということを聞くことがあります。
これも日本スポーツ振興センターでは、給付の対象ではありません。
対人
これまでに、子供がお年寄りをはねて9500万円の賠償金を払うよう判決が出たり、
数千万円以上の賠償金の支払い判決が出ていることがあるようです。
妊婦さんに当たってしまったということも聞きます。
対人についても日本スポーツ振興センターでは、支給の対象でなありません。
自分の意思で保険に入る
このような場合に備えて、保険に入っておくとよいと思います。
このような保険は、学校に入学するときにパンフなどをくれます。
加入は、自分の判断です。
自転車で人にぶつかり、亡くなってしまうこともあります。
自転車の場合は、怪我の度合いが大きいですから、自転車保険の加入はしておいたほうがよいと思います。
保険料は、数百円です。
免責
保険の免責は、保険に入っていても、保険金が支払われないことを言います。
自分で契約した保険の約款をみてみましょう。
自転車保険の免責事由として、例えば、次のような場合は、保険は払いませんよと書いてあります。
・スマホを利用しながら自転車に乗っていた場合
・二人乗りをしていた場合
・並走していた場合
・無灯火で走っていた場合
・友人の自転車を借りて乗ったら、友人の自転車が壊れてしまった場合。
・自然災害
・故意に壊した場合
などです。
最近は、スマホを使いながら自転車を運転するのをよく見かけます。
仲良く並走することもあります。
子供たちには、よく理解させ、注意させたいものです。