破産財団(はさんざいだん)と換価(かんか)対象の財産

スポンサーリンク

破産財団(はさんざいだん)

自己破産する者にとっては、聞きなれない言葉です。

全国の破産者の財産を別の組織(財団)が管理するものかと思ってしまいますが、そうではありません。

私も弁護士から説明を聞いただけでは、イメージできませんでした。

破産法第2条第14項
この法律において、破産財団とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいう。

個人が自己破産した場合は、その個人が持っていた現金やお金に換えることができる家、家財道具など、すべてを破産財団といいます。

管理するのは、裁判所が指定した破産管財人です。
破産管財人は、通常、弁護士が選任されますが、破産者の相談した弁護士とは別の弁護士です。

破産財団と換価できる財産

破産手続き前に弁護士が、破産者の財産リストを作成します。
この段階で、証券などをお金に換える場合があります。

私の場合、裁判所に支払うお金をつくるために、生命保険を解約しました。

 

裁判所へ破産手続き申立てをすると、この財産は、破産管財人が管理することになります。

 

スポンサーリンク

換価(かんか)

現金や預貯金は、そのまま債権者へ分配できますが、家や物品は、分配しにくいです。
そこで、破産管財人が家や物品などの財産をお金に換えて、破産財団に組み入れます。

破産手続きにおいて、これらの物品をお金に換えることを換価(かんか)と言います。

自己破産時の財産の換価

家や車などは、取られてしまいますが、最低限、生活に必要なものは取られません。
テレビのドラマで見るような、破産者の自宅にあるものすべてが差し押さえられることはありません。

 

弁護士に依頼した段階で、財産リストをつくります。

 

中には、生活に必要なものがあり、自由財産の拡張を申し立てます。
自由財産の拡張とは、生活や仕事に必要ものだから、取り上げないでほしいと願い出ることです。

 

自由財産拡張を申し立てた物品は、一つ一つ、裁判所が確認して、破産財団に組み入れるかどうか判断します。

 

私たちがネットオークションやリサイクルショップで売るような数千円の物品は、取られないと思います。
破産管財人が、これらの物品を換価するのに手間がかかります。

 

私たちが物品をリサイクルショップに持っていけば、現金にしてくれます。
しかし、破産者の物品を売却するには、手続きが必要です。

一つ一つ、書類をつくり、裁判所にお伺いを立てる必要があります。
これが面倒だと私の自己破産を担当した破産管財人は、仰っていました。

 

リサイクルショップで売却するような数千円の物品を換価しない理由を破産管財人が教えてくれました。

破産管財人の報酬は、破産者の破産財団から支払われます。

数千円から数万円の物品について、一つずつ、破産者に利用目的などを確認してから書類を作り、裁判所に提出して、許可が出てから売却します。

売却するにも売買契約書を作成し、購入する人をやりとりをするなど手間がかかります。

 

破産管財人の労力の割りに報酬が少ないため、数千円から数万円の物品については、換価の対象にしないそうです。
換価が容易であれば、換価するものもあるとのことです。

 

私の場合、破産手続きをしてから、追加でオークションで売れそうな物品のリストを提出しました。
その資料には、数百円くらいの物品も記載しています。

これは、債権者から意見があるかもしれないため、予め記載しておくようです。

 

20万円が、取られるか取られないかの境になります。

物品の中古価格は変動しますから、破産者の調べで20万円以下であっても、破産管財人が指定した業者が20万円以上を付けることがあります。

20万円以上になるため、換価の対象となり、取られます。

私は、取られないと思っていた個人購入の仕事の道具は、取られてしまいました。

 

車の売却には注意が必要

車は、実際の売却時の価格でなく、破産手続き開始時の価格です。
自由財産の拡張を申立てをしても、数ヶ月後に認められないことがあります。

破産開始から時間が経っているため、車の価値が下がります。
売却時の金額が安いため、破産開始時に破産管財人の指定業者が査定した金額分の埋め合わせをする必要があります。

 

弁護士や破産管財人が車の自由財産格調に難色を示したら、さっさと売却したほうがいいと思います。
また、破産財団に組み入れられるお金は、車本体の金額です。

売買時の書類作成など、手数料は、自分持ちになります。

 

スポンサーリンク

自由財産と差し押さえ禁止物品

破産法では、自由財産と言って、生活に必要な物品などは、破産財団に含めないことになっています。

 

また、民事執行法には、差し押さえ禁止物品というものが規定されています。

 

裁判所に取り上げられず、破産者が持っていてもいい物品には次のようなものがあります。

  • 99万円までの現金
    この現金には注意が必要で、もらっていない(現時点で退職したとして)退職金も含まれます。
  • 安い賃貸アパートなら、そのまま住み続けられます。
  • 生活に必要な家財
    冷蔵庫、パソコン、寝具、テレビ、エアコン、扇風機、洗濯機、ガスコンロ等
    ※ 家財は、破産手続き前に、これらのメーカーや型番、年式などを記載したリストを提出しました。通常の生活で不要と思われるような大型のテレビなどは、回収されることがあります。