ローンが残っている場合は、引き上げられる
車をローンで購入した場合、所有者がディーラーやローン会社になっているため、所有者であるローン会社等が引き上げます。
所有者が自分の場合、20万円以下であれば残せる。
所有者があなたの場合、車の価値が20万円以下であれば、裁判所は回収しません。
そのまま、あなたが乗り続けることができます。
20万円を超える場合は、お金に換えられ(換価すると言います)、債権者に分配されます。
破産手続き開始後、裁判所がお金にします。
実際には、破産管財人が行います。
車の価値(金額)は、誰が決める?
私の場合、自己破産手続き前に中古車業者に見積もってもらいました。
その後、破産手続きをお願いした弁護士が破産手続き前に業者に見積もらせています。
さらに、破産手続き後、破産管財人(破産者の財産をお金に換え債権者に分配する人)が、業者に見積もらせました。
破産手続き(申請)開始まで(その2)弁護士からの指示内容と注意点
裁判所が回収するかどうか判断するのは、破産管財人が指定した業者の金額です。
金額の決定のタイミングは、破産手続き開始の直後です。
売却時期が、ずれて半年後になったとしても、破産開始時に査定した金額分が回収されます。
車を残そうと、知人などに売却する場合、時間が経って、価値が下がっていたとしても破産開始時の金額で売却しなけらばいけませんから、注意が必要です。
知人が、その時点での価格で購入する場合、最初に破産管財人が出した金額になるよう差額を含めて、裁判所(破産管財人)にお金を支払います。
20万円以下で取られない予定のものが、回収対象になる場合がある
自己破産手続き前に業者による査定額が20万円以下であったとしても、破産手続き後に破産管財人が指定した業者が20万円以上を付ける場合があります。
この場合は、車は回収の対象となります。
車を手元に残そうと自己破産手続き前に中古車業車に頼んで20万円以下にしてもらっても、破産管財人が再度、調査をしますから、2社以上から見積もりをもらっておき、きちんと申告しておくとよいと思います。
破産管財人は、裁判所に意見が言える立場にあります。
安く見積もっておいて、後でそのことが分かると、他にも何か隠していたり、虚偽の申告があると疑われます。
破産者には車は贅沢品、手放すのが原則
破産管財人、弁護士によると、車は贅沢品です。
債権者から見て、破産者が贅沢品である車を持つのはおかしいという考えですから、原則として車は売却されます。
しかし、価値がない車は、お金に換える手間と、お金に換えてから破産管財人への報酬などを引くと、債権者へ分配される金額が低くなることから、換価(現物をお金に換える)することないそうです。
20万円という基準は、他の物品でも同じ考えで、手間を考えて、売却手続きはしないようです。
破産者の財産を売却するには、裁判所の許可を取ったり、売買契約書を作成するなど、手間がかかります。
特に車の売却は、名義変更等もあり、警察署に行ったり、車検場に行ったりしますから、時間と手間がかかります。
自己破産者が車に乗り続ける方法
いくつか方法があります。
①理由を付けて、取られないように申し立てる(自由財産拡張の申立て)
自己破産では、生活に必要なものは取られません。
差し押さえ禁止の物品があり、破産者が最低限の生活ができるよう冷蔵庫や洗濯機などは取られません。
車も、生活や仕事で必要だという申告をします。
しかし、破産者が身障者だったり、山間部に住んでいて車がないと生活できないなどの理由がないと、認められることは少ないそうです。
私は、通勤以外にも仕事で必要でしたが、認められませんでした。
②知人などに売却し、その車を借りる
車を知人の名義にし、その車を借りるという方法があります。
知人に売ったとしても、高額である車を簡単に貸してくれないかもしれません。
また、事故も心配ですから、知人であったとしても、長期間、あなたに貸してくれないと思います。
知人は、自己破産してしまったあなたを信用していないかもしれません。
なるべく、知人に迷惑にならないようにするために。
お金は、あなたが出して、名義だけ知人にすることになると思います。
自動車保険の内容についても、知人が安心するように、説明しておく必要があります。
知人に売却した場合、単純に車検証の名義を変えるだけでは乗り続けられません。
車を知人に売った場合の売買契約は、破産管財人と知人の間で行う
車は、破産手続きの申立てをした段階で、破産管財人が管理しています。
もう、この段階で、車はあなたのものではありません。
車の売却は、車を管理している破産管財人が売り手、あなたの知人が買い手になります。
通常の売却と異なり、裁判所の許可が必要になりますから、あなたと知人間ではできません。
知人などへの車の売却手順の概要
1 あなたの知人が購入希望届けを破産管財人に申しでる。
2 破産管財人が、どのような人物か調査し、裁判所に許可を求める。
3 許可が出たら、売買契約書を作成し、契約する。
4 車の名義変更をする。
※弁護士によると、家族は、まず許可されず、親族でも、許可されない可能性があるそうです。
遠い親戚なら、可能性があるそうです。
ネット情報では、親でも認められる裁判所があるようです。
私の地域では、弁護士、破産管財人から、親、親戚は、認められないとのことでした。
③中古車店に売却した後、その車を購入する
車を中古車販売店に一旦、売却し、名義変更をします。
その後、その車を、あなたが購入します。
④夫が自己破産して、妻名義の車に乗る。(ネット情報)
このケースでは、車は、妻の財産であり、破産者個人の財産ではありません。
夫が破産手続きをした時に妻所有の車を裁判所に申告することはありません。
数年前から車を妻名義にし、準備すれば、できるのかもしれません。
夫婦共有財産である妻(家族)名義の車に乗るのは難しい?
弁護士によると、特殊なケースではないかということでした。
一般的な夫婦の場合、財産を共有しているため、夫が借金をすると妻に借金の取り立てが行きます。
破産手続きをしても、妻が夫の借金を保証することが多いし、破産手続きをすれば、裁判所は夫婦共有の財産なども調査するため、難しいと思われるとのことでした。
官報に破産手続きが始まったことが掲載されると、一般の人からも意見を述べることができます。
もし、破産者が妻所有の高級車に乗っているとすると、誰が見ても、おかしいと思います。
債権者も同様に考えます。
数百万円の自己破産の事案の場合、一般人から意見が述べられることは少ないそうですが、裁判所は、このように考える人がいると考えて、公平に判断するそうです。
私は、弁護士の勧めで夫婦同時に自己破産しましたので、このように妻名義にするという選択肢はありませんでした。
また、私はサラリーマンですが、業務で自分の車を使い、毎日、100~200km走っています。
それでも、自由財産拡張の申立て(仕事で車を使うから車を残したいという手続き)は、認められませんでした。
自己破産手続き後、裁判所から取り上げますという指示がありました。
弁護士とも相談し、いくつか方法を考えてもらいましたが、車は、中古車業者に一旦売却して、自己破産手続き期間が終了してから、買い戻しました。